2025年の補助金制度について概要が発表されました。
⚪︎子育てグリーン住宅支援事業について(国土交通省)
⚪︎脱炭素志向型住宅の導入支援事業(子育てグリーン住宅支援事業)について(環境省)
2025年の新築住宅の補助金では、「GX志向型住宅」が新設されるなど、2024年の「子育てエコホーム支援事業」から改変された内容や補助額、対象住宅などについての概要を解説していきますが、先ずはざっくりまとめますと、以下の4つが要点となると思います。
- 2024年になかった「GX志向型住宅」(補助金額:160万円)が新設される
- 令和6年11月22日以降に上棟された建物から対象となる
- 長期優良住宅認定が優遇される
- 分譲住宅・賃貸住宅でも適合できる
子育てグリーン住宅支援事業の補助金額
新設された「GX志向型住宅」に適合する場合は補助額が160万円となっており、1戸あたりの補助額では過去最大の補助額です。
子育てグリーン住宅支援事業(新築)の概要
対象世帯 | 対象住宅 | 補助額 | |
すべての世帯 | GX志向型住宅 | 160万円/戸 | |
子育て世帯等 | 長期優良住宅 | 建替前住宅等の除却を行う | 100万円/戸 |
上記以外 | 80万円/戸 | ||
ZEH水準住宅 | 建替前住宅等の除却を行う | 60万円/戸 | |
上記以外 | 40万円/戸 |
蓄電池を設置する場合の補助事業(併用可)
補助金概要 | 補助率 | |
DRに対応したリソース導入拡大支援事業(仮) | DRに活用可能な家庭用等蓄電システムの導入を支援 | 1/3以内 |
GX志向型住宅の場合
- 160万円/戸
- 全ての住宅が対象となり、年齢制限などありません。
- ZEH基準を大きく上回る省エネ性能を有する住宅が対象です。
長期優良住宅の場合
- 建替前住宅等の除却を行う場合:100万円/戸
- 上記以外の場合:80万円/戸
- 高耐久・高耐震・高省エネ性を備えた住宅が対象となります。
ZEH水準住宅の場合
- 建替前住宅等の除却を行う場合:60万円/戸
- 上記以外の場合:40万円/戸
- 年間の一次エネルギー消費量がほぼゼロの家が対象となります。
2024年の『子育てエコホーム支援事業』から新たに新設された「GX志向型住宅」は住宅の性能が適合していれば、年齢制限などもなく全ての世帯が対象となります。一戸建て住宅を検討される子育て世代からシニア世代まで幅広くカバーされる制度です。また、『子育てグリーン住宅支援事業』では、住宅用蓄電池が設置される住宅にも補助金が適用されます(併用可能)。
蓄電池に関して適応される補助は「DRに対応したリソース導入拡大支援事業」(仮)により、補助率としては最大3分の1以内となっています。(上限額などについては2024/12/1時点では詳細未発表です。)
GX志向型住宅の要件は?
GX志向型住宅とは、とは、国の「GX(グリーントランスフォーメーション)」政策に基づき、大幅な省エネ性能と再生可能エネルギーの活用を促進することを目的とした住宅のことで、以下のA~Cの全てを満たすことが条件です。
- 断熱等性能等級「6以上」
- 再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率「35%以上」
- 再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率「100%以上」
断熱等級6とは?
2022年10月に新設された、最新の断熱性能基準です。断熱等級6の住宅は、HEAT20 G2という基準を満たしており、非常に高い断熱性能を誇ります。
HEAT20 G2とは?
- 一般社団法人20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会が定めた、高断熱住宅の性能基準です。
- G2は、高い断熱性能によって室温を安定させ、快適な生活を送れることを目指したレベルです。
再生可能エネルギーとは?
再生可能エネルギーとは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど、自然界に存在するエネルギーを繰り返し利用できるエネルギーのことで、住宅においては主に太陽光発電のことを指しています。
ZEH水準よりもさらに高い断熱性能を満たしつつ、太陽光発電を除いて一時エネルギー消費削減量「35%以上」を達成できる省エネ性の高い建物であること。さらに、太陽光発電を搭載して一時エネルギー消費削減率「100%以上」を達成できる住宅である。
ということです。ZEH水準では、断熱等級5、一次エネルギー消費量の削減率「25%以上」がボーダーですが、そのさらに上を行く省エネ性能を有することが求められ、断熱等級6では、6・5地域ではUa値0.6以下から0.46以下へ。一次エネルギー消費削減率「25%以上」から「35%以上」へと適合条件も厳しくなります。
その他の規定
※対象となる住戸の床面積:50㎡以上~240㎡以下
※以下①~④の住宅は、原則対象外とする。
- 「土砂災害特別警戒区域」に立地する住宅
- 「災害危険区域(急傾斜地崩壊危険区域又は地すべり防止区域と重複する区域に限る)」に立地する住宅
- 「立地適正化計画区域内の居住誘導区域外」かつ「災害レッドゾーン(災害危険区域、地すべり防止区域、土砂災害特別警戒区域、急傾斜地崩壊危険区域又は浸水被害防止区域)内」で建設されたもののうち、3戸以上の開発又は1戸若しくは2戸で規模1000㎡超の開発によるもので、市町村長の勧告に従わなかった旨の公表に係る住宅
- 「市街化調整区域」かつ「土砂災害警戒区域又は浸水想定区域(洪水浸水想定区域又は高潮浸水想定区域における浸水想定高さ3m以上の区域に限る)」に該当する区域に立地する住宅
※賃貸住宅の場合、子育て世帯等に配慮した安全性・防犯性を高めるための技術基準に適合することが必要
※「建替住宅の除却を行う」とは、住宅の新築にあわせ、建替前に居住していた住宅など建築主(その親族を含む)が所有する住宅を除却する場合
※都市部狭小地等の場合に限っては再生可能エネルギー未導入(ZEHOriented)も可。
注意すべき点は、原則補助対象外となる
「土砂災害特別警戒区域」
「災害危険区域(急傾斜地崩壊危険区域又は地すべり防止区域と重複する区域に限る)」
「立地適正化計画区域内の居住誘導区域外」
「災害レッドゾーン(災害危険区域、地すべり防止区域、土砂災害特別警戒区域、急傾斜地崩壊危険区域又は浸水被害防止区域)内」
上記の4つが建築予定地でないことについては、ほとんどの方が抑えておくべきポイントなので、土地から購入してマイホームを建てる方も、建替えの方も、チェックしておくべきポイントです。各行政のハザードマップなどがWEBで確認できますので、必ず確認しておきましょう。
子育てグリーン住宅支援事業の対象となる補助期間
経済対策閣議決定日(令和6年11月22日)以降に、基礎工事より後の工程の工事着手したものに限る
現在の発表ではこのように記載されているので、2024年11月22日以降に上棟した建物が対象となると考えられます。2024年12月1日現在で2024年の『子育てエコホーム支援事業』の予算消化が完了していないので、今後の発表で詳しい事が分かると思います。
子育てグリーン住宅支援事業のまとめ
政府が段階的に住宅の省エネ基準を引き上げている主な理由は以下の通りです。
地球温暖化対策
二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量を削減し、地球温暖化を抑制することが最も大きな目的です。住宅からのエネルギー消費は、温室効果ガス排出の大きな要因の一つであり、省エネ化を進めることで、温室効果ガス削減に大きく貢献できます。
エネルギーセキュリティ
化石燃料への依存度を減らし、再生可能エネルギーの利用を促進することで、エネルギーの安定供給を確保し、エネルギー価格の変動による影響を軽減する狙いがあります。
経済活性化
省エネ住宅の普及は、関連産業の活性化や雇用創出につながり、経済全体への波及効果が期待できます。
国民生活の質の向上
省エネ住宅は、冷暖房費の削減など、経済的なメリットだけでなく、快適な住環境を提供し、健康にも良い影響を与えます。
補助金制度の目的は、これから未来に向けて推進していくべき高性能で省エネな住宅を増やすことで、社会全体の消費エネルギー量を下げ、地球温暖化防止に貢献してきながら、快適性や経済性の向上により、暮らしをより豊かにしていくことが目的です。「ガマンすることが省エネ」の時代から風向きが代わり、「ガマンしない省エネ」が当たり前の社会に少しずつ向かっているということですね。
2025年(令和7年)に家づくりをされる方にとっては、今回の『子育てグリーン住宅支援制度』はとても大事な制度だと思います。アイデザインホームのブログでは、新情報が出ましたらまた発信していきますので、チェックしておいてください。