倉敷支店の藤原です。モノコック工法についてお聞きになったことはございますか?この工法は、建物全体を一体化した構造にすることで、耐震性、高気密性、遮音性に優れているのが特徴です。
今回は、「モノコック工法」について詳しく解説させていただきます。
モノコック工法の由来
モノコックという言葉は、ギリシャ語で「ひとつの…」という意味の「mono」と、フランス語で「貝殻」という意味の「coque」を合わせた言葉ですモノコック工法を一言で説明すると、その名の通り、「骨組みを使わず外皮を貝殻のように覆うことによって形を保っている」工法のことです。
身近なものだと、「卵の殻」をイメージしてみると良いかもしれません。卵の殻は薄くても全体で力を分散して強度を保っていますよね。モノコック工法も同様に、建物全体を一体化させることで強度を高めています。建物でいうと、家を取り囲む壁で支える工法になります。
モノコック工法は航空機に使われていたことが始まりでしたが、のちに現代の車や鉄道、建物にまで応用されるようになりました。
在来工法もモノコック化
在来工法(木造軸組工法)は、柱や梁を組み合わせて骨組みを作り、その骨組みで建物を支える方法です。設計の自由度が高く、日本では最もポピュラーな構造工法で全体の70%は在来工法で建築されています。近年では、主に建物の外周に多く配置される筋交いを面材に置換えモノコック化した軸組工法にパネルを併用した在来工法が主流となっており、ほとんどの在来工法はモノコック化しています。
モノコック工法と2×4工法(ツーバイフォー工法)
「在来工法」のほかによく聞くのが、「2×4(ツーバイフォー)工法」。モノコック工法の源流?とも言えると思いますが、同様に高い耐震性、高気密性、遮音性を持ちます。
「2×4(ツーバイフォー)」とは、北米地域で生まれた工法で、建物に使用される構造用製材が「2インチ×4インチ」のサイズであったことから、このように呼ばれています。最近では断熱材厚をかせぐために2×6や2×10といった断熱を強化する目的で派生していった工法も増えています。
モノコック工法のメリット
1.耐久性と耐震性がいい
モノコック工法が耐震性に優れている理由は、建物全体を「箱型」にすることで、外部からの力をバランスよく分散させるからです。地震大国とも言われている日本では、耐震性に対する信頼度があるかどうかは特に重要なポイントにもなりますよね。
2.高気密になる
モノコック構造の家は、心材や柱で囲われた外周を面材で覆う工法になるので、性質的に隙間が出にくい工法のため、高気密住宅にしやすいと言えます。
また、モノコック工法は、面材に不燃材を使用することで、火災に強い構造を実現できます。火災発生時の延焼を防ぎ、安全性を高めることができます。
3.遮音性が高い
高気密の家になることで、同時に遮音性も高めることが可能にもなります。壁、床、天井が一体化した箱型構造のため外部からの音が入りにくく、内部の音も漏れにくくなります。面材でと断熱材で覆われることで、音の振動を効果的に吸収し遮断します。
4.広い空間が確保できる
モノコック工法は壁、床、天井で建物を支えるため、柱が少なく済むため、広い生活空間を確保することができます。限られた空間を最大限に活用し、理想の間取りや部屋の広さを実現させやすいのは大きなメリットのひとつ。柱や梁に依存しないため、間取りの自由度が高く、広々とした空間を設計しやすくなります。
モノコック工法のデメリット
1.間取りや窓の大きさが制限される
モノコック工法では、家を取り囲むパネル面で建物を支えることになるため、開口部の大きい窓を設けたり、複雑なデザインの壁にする場合は制限が出てしまいます。
2.リフォームが難しい
モノコック工法は面(耐力壁)の必要量が決まっているので、リフォームで間取りを変えたりすることが難くなります。建築の自由度でいうとモノコック工法ではない従来の木造軸組工法の方が高いといえますが、在来工法の場合でも「この柱は取り除けない」などの制限は少なからずあり、逆に耐震リフォームも昨今では増えてきています。
まとめ
モノコック工法は、耐久性と耐震性、高気密、遮音性が高い、広い空間が確保できるなどの多くのメリットを備えた工法です。従来の在来工法との違いやメリット・デメリットを理解したうえで、理想の家づくりをはじめていきましょう。